リースバック物件で家賃収入を得る選択肢

「現金は使ったら使った分だけ減ります。そこで現金を別の形に変え、資産の目減りを緩やかにする方法を検討してみましょう。具体的には、不動産を購入してその家賃収入を賢吾さんの生活費に充てるというものです。購入する不動産はリースバック物件にするとよいでしょう」

この提案に賢吾さんは興味を持ったようで、すかさず横から声が飛んできました。

「リースバック物件? それはどのようなものでしょうか?」

「ざっくり言うと『自宅を売却した家主が、自宅売却後に賃料を支払うことでそのまま自宅に住み続けている物件』のことです。最大のメリットとして、一般的な販売価格よりも安く買える可能性が高い点が挙げられます」

「なぜ安く買えるのでしょうか?」

「大きな理由として『自宅を売却した家主が家賃を支払っている間は引き続きその自宅に住んでいるので、その間は不動産活用の幅が狭まってしまうから』というものがあります。つまり、家主が住んでいる間、リースバック物件の購入者は物件をリフォームして高値で売却するといったことはできません。そのような制限があるので割安になっていることが多いのです。せっかくなのでメリットとデメリットを確認しておきましょう」

■メリット
・割安で購入できる可能性が高い
・すでに家主が住んでいるので、購入者がリフォームをしたり入居者を募集したりする必要がない
・購入後すぐに家賃収入が得られる
・家主が住んでいる間は、家屋の修繕費は家主本人が負担する(購入者が負担することはない)
・家主が退去したら、購入した金額よりも高い金額で売却できる可能性がある

■デメリット
・家主が住んでいる間は購入者が自由に活用できない
・リースバック契約時に設定した家賃から値上げをすることは難しい
・優良物件はすぐに買い手がついてしまう

さらに筆者は説明を続けました。

「リースバック物件は市場よりも割安で購入できますが、家賃は一般相場と変わりません。よって3800万円程度の資金で複数のリースバック物件を組み合わせれば、固定資産税、社会保険料、税金などを差し引いた手取りは月額で23万円くらいになると思います。そうすればご両親が1億円を負担することなく賢吾さんの一生涯の生活費をまかなうことも可能でしょう。ただし、リースバック物件であれば何でもよいわけではありません。その物件が優良物件かどうかの選別が必要だからです。もしよろしければ、私の知り合いの不動産業者にいくつか見繕ってもらえます。面談は無料なので、まずはお話だけでも聞いてみますか?」

この提案に賢吾さんは顔をほころばせました。

「それはいい考えですね! ぜひお願いします」

両親もまんざらではない顔をしています。