<前編のまとめ>
入社式での社長のひと言が、新卒社員・田中悠真さん(仮名・22歳)の心に強い違和感を残しました。
「君たちはもう学生じゃない」という怒声に、会社との価値観のズレを直感したといいます。その後の研修では、休憩なしの長時間拘束や連絡手段の制限など、想像以上の過酷な環境が続きました。
社員寮という閉ざされた空間の中で、田中さんは「これは研修ではなく、洗脳じゃないか」と感じ、退職代行に助けを求めます。
●前編:【4月退職の新人社員】入社式当日に退職を決意…強烈な違和感を植え付けた“社長の余計なひとこと”
退職を申し出るのは“裏切り”?
「先輩はみなさん優しいので、自分だけ抜けるのは申し訳ないという気持ちが強くて……」と田中さんは振り返ります。
新卒の依頼者の多くが、田中さんと同じ言葉を口にします。真面目だからこそ、裏切ってしまうようで言い出せないのです。
田中さんの心配をよそに、担当者が会社側に電話すると、驚くほどあっさりと退職手続きが進められました。実は、すでに同じ会社から複数名の新卒から依頼があったのです。担当者は状況を察していたのでしょう。