「今度こそ、自分が安心して働ける会社を見つけたい」

私も経営者ですから、「せっかく入ったのなら、少しでも長く続けてほしい」というのが正直な気持ちです。退職代行に否定的な人からは「逃げグセがつく」という声もあります。

これは正論のようで危険な場合もあります。違和感を抱きながらズルズルと何年も続け、身体やメンタルを壊したり、年齢的に転職が難しくなる人たちがいます。

まずは“辞める基準”を自分の中で持つことが大切です。「契約内容より給料が低かった」「休みがない」「ハラスメントを受けた」など明らかに法令違反の場合はすぐに退職を検討してください。また休日でも仕事のことばかり考えてしまい、リラックスできないときは黄色信号です。プライベートが犠牲になっていると、仕事も集中できず悪循環に陥ってしまいます。

しっかり基準を持ち、周りによく相談してから退職するかどうかは判断してください。あまり悩みすぎないことも、同じくらい大切です。あなたの働きやすい会社は、本当にたくさんあります。まだ出会っていないだけかもしれません。

田中さんは実家に戻り、体調を整えながら、転職活動を始めています。後ろめたさもあり、大学の同期には退職代行を使って辞めたことはまだ言えないようです。もう少しがんばれたのではないかとふと思うこともあるようですが、「今度こそ、自分が安心して働ける会社を見つけたい」と、前を向いています。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。