<前編のあらすじ>
62歳の芳美さん(仮名)は、9年前に変形性股関節症を患い、今年4月に人工関節を入れる手術を受けました。夫の雅史さん(仮名・60歳)の扶養に入りながらパート勤務を続ける中、「人工関節を入れると障害年金の対象になる」という情報を得て、気になります。
しかし、63歳からの老齢年金受給も近づき年金事務所で相談すると、職員から「障害年金は受けられません。その代わり障害があることによっての老齢年金の特例が2年間受けられ、通常より年金が多くなりますよ」と告げられます。
●前編:「人工関節を入れると障害年金の対象になる」はホント? 62歳女性が直面した年金制度の疑問と意外な真実
障害年金を受けるための条件
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります。障害基礎年金は障害等級1級、あるいは1級より障害が軽い2級に該当する場合を対象とし、障害厚生年金は1級・2級だけでなく、2級より軽い3級に該当する場合も対象となります。人工関節を入れた場合は原則障害等級3級に該当するとされます。3級の場合、障害基礎年金はなく、障害厚生年金のみ対象となります。
しかし、障害等級に該当していたとしても、障害厚生年金は初診日(障害の原因となる傷病で初めて医師などの診察を受けた日)時点で厚生年金に加入していることが受給に必要な条件となっています。芳美さんは初診日時点では雅史さんの扶養に入っていて厚生年金に加入していませんでした。そのため、たとえ3級相当の障害であっても障害厚生年金は受けられないことになります。