常日頃、私は「退職代行は使わないほうがいい」と言っています。しかし、残念ながら、まだまだ世の中には自ら「辞める」とは言い出せない職場があります。いわゆるブラック企業に勤めている方からは「退職届を破られた」「辞めたいと言うと逆恨みされそうで怖い」という相談を受けます。こういうケースでは退職代行を使わざるを得ないでしょう。

一方で会社側が愚痴のひとつぐらい言いたくなる気持ちがわかるときもあります。そのひとつが産休・育休明けのタイミング、またはその直後での退職です。

会社側からすれば、貴重な経験者の職場復帰を待ちわびていたところ、突然、退職代行サービスから電話がかかってきて「○○さんの退職の件でお電話しています」と言われれば、驚きますし、人によっては裏切られたとも感じることでしょう。

しかしながら、依頼者からすれば、結婚・出産を機に生活環境は大きく変わっています。休職前は前向きな気持ちであっても、休職中に産後うつ、育児疲れになるかもしれません。自らのキャリアを見直す時間にもなります。この変化までは会社はわかりません。

だから、いざ復帰となると尻込みしてしまうのは当然です。育休・産休を使っている間、会社に迷惑をかけているという気持ちが強いほど、このまま退職したいとは伝えづらく、復帰間際になってから退職代行サービスに依頼するようです。

たとえ復帰できたとしても、早期退職に至るケースもあります。