②「保険は運用目的で加入するもの」という誤解

さて、それを踏まえて保険を続けた方が良いかどうかですが、まず保険へ加入する意味は「運用のみ」ではないという認識が必要です。

確かに運用という点では、やはり投資信託の方が効率的でしょう。保険は保険会社が運用してくれていますが、運用されている資金は保険料の一部に過ぎないので、保険料にあたる資金を全額自分で運用した方が効率的なのです。

しかし、保障という点ではどうでしょう。智明さんの場合は、未就学児のお子様が2人で、これからますます子育てにお金がかかりますから、智明さんに万一のことがあった場合を考えてみます。

まず、外貨建て終身保険とは別で加入している収入保障保険から、毎月10万円の保険金が下ります。それに加え、妻の会社員としての収入が手取りで毎月約15万円あります。さらに、国から死亡時の保険として遺族年金が支給されます。

これらの収入があれば、毎月の家賃と駐車場代という大きな支出こそあるものの、日々の生活費をカバーできそうです。ただし、教育費までカバーするのは厳しいかもしれません。

仮にお子様1人あたりの大学進学費用の目安が500万円だとすると、2人分で1000万円。智明さんに万一のことが起きた際に、妻が1人で準備するにはあまりにも大きな金額です。

つまり、この時点で、万一の際の保障が不足しているのです。したがって、運用目的でなく保障目的で、かつ為替リスクを受け入れられるなら、外貨建て終身保険に加入し続ける意味があると言えます。

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相談後、智明さんは「保障目的という点では考えたことがなかったです。保険が悩みのタネだったのでスッキリしました」とすっかり不安が解消された様子でした。

さらに、来年からNISA制度の非課税枠が大きくなることを見据えて、「ぜひアクティブファンドも取り入れたいですね」と日々の投資の選択肢も広がったようです。智明さんが、お気に入りのアクティブファンドを見つけることを楽しみにしています。