年金はあてにならない、どうせ少ない。そんな声をよく聞きます。しかし、もし年金がないとどのような生活になるでしょうか。今回は、無年金の父が引き起こした“ある迷惑”についてお話します。

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50歳の恵理子さんは2人の高校生の子を持つ母親です。春から実父と同居が決まり、父を夫の扶養に入れるとどうなるのか知りたいとのことで、筆者のところに相談に来られました。

現在、お父様はタクシー運転手として働いていますが、春に定年の75歳を迎えるため、退職することになったそうです。お父様の退職後は恵理子さん一家と一緒に住むことになり、この同居によって家計にどのような影響があるのか事前に知っておきたいとのことでした。

<相談者 恵理子さんプロフィール>

・50歳
・夫婦共働き
・夫、高校生の子2人と暮らしている
・定年退職後の父親と春から同居予定

恵理子さんから発せられた“衝撃の一言”

まず、扶養には、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」があります。

75歳になるとお父様自身は後期高齢者医療制度に加入することになりますから、社会保険上の扶養制度はなく、税制上の扶養のみとなります。また、税制上の扶養に入る条件として、お父様の所得が48万円以下である必要があります。

そこで、早速お父様の年金やその他収入状況を聞いてみました。すると、恵理子さんからは「ありません」と衝撃の一言が。筆者は「ありません」の意味が一瞬分からず、「お父様の年金はいくらですか?」と単刀直入に聞き直しました。

しかし、最初の言葉の通り、お父様は年金を納めていなかったため、定年退職後の収入はゼロだと言うのです。「収入が何ひとつない父を放っておけなかったんです……」と言って身元を引き取らざるをえない状況だったと話してくれました。