姑からの嫌味に加え、夫のモラハラも続く

また、子どもが診断を受けたことによって姑からもいびられました。「あんたの育て方が悪かったんやろ」「昔はそんなん普通やったのに、わざわざ病院行くほどのことでもないのに」と、会うたびに責められ、徐々に姑とは距離を置くようになりました。

子どもに手がかかるため働きたくても働きに行けなかったのですが、子どもが中学生の時にパートで働くようになりました。しかし、家事に手が回らない日が出てくると「その程度の年収で家のことをおろそかにするな」と夫から言われたこともあり「そのくらいから離婚を本気で考えるようになりましたね」と、言います。

現状の収入では1人で生きていけない

その後、のり子さんは子どもが大学に合格したタイミングで筆者のところに相談に来ました。離婚しても生活は成り立つかと相談に来たのり子さんでしたが、仮に財産分与の対象となるマイホームが希望通りの価格で売れ売却益を得られたとしても、今の年収では、老後を迎えるまでに生活破綻してしまうことが分かりました。

離婚後は分与財産の切り崩し生活がすぐに始まり、老後までにすべての財産を使い果たしてしまうのです。生活を成り立たせるためには、分与後の財産を切り崩しながら生活するのではなく自分の稼ぎで生活を成り立たせる必要があります。

老後においても、年金分割をしたとしても厳しいと予想されます。離婚時の年金分割は厚生年金の記録を夫婦で分け合う制度ですが、のり子さんは扶養に入っている期間が長かったため、厚生年金の記録が少なく、分割したとしても厳しい金額になりそうです。それゆえ、財産分与の財産は老後への備えとしてとっておくくらいの稼ぎが必要なのです。

そこで筆者は、老後までは自分の稼ぎで生活ができる年収が必要であること、さらに財産分与とは別に、離婚後、老後までに1000万円程度は貯蓄できる年収がないといけないことをお伝えし、その目安の年収が350万円程度であることもお伝えしました。この金額であれば厚生年金に加入するため年金を増やすことができますし、離婚後の生活において、毎月の手取りから貯蓄するのは難しいとしてもボーナスは貯められると思われます。

●相談から3年後、のり子さんには驚きの変化が表れていました。後編【モラハラ夫との熟年離婚を考え始めた50代女性…老後破綻を防ぐため、最初に取り組んだ“対策”】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。