コソコソと出掛けて行く息子
それからしばらくして、絵里子は裕也が時折家を空けるようになっていることに気が付いた。
最初は、ようやく外出する気になったのかと喜んでいた絵里子だったが、すぐに違和感に行き当たる。
裕也は、決まってコソコソと絵里子の目を気にするようにリュックサックを背負い、物音を立てないようにと家を出て行く。一体、あのリュックサックに何を詰めて、どこへ出掛けているのか。
部屋着同然の私服のまま就職活動ということはあるまいし、何かよからぬ犯罪にでも巻き込まれているのではないかという不安が頭を過ぎる。
しかし絵里子が気になって尋ねてみても、裕也は目をそらしながら「散歩」だと答えるだけだった。
●まさかわが子が闇バイトに……? 息子が語った事実とは――。後編【引きこもりのわが子が頻繁に外出するようになった理由は…23歳無職の息子の「母には言えない秘密」】にて、詳細をお届けします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。