芳香さんと紗矢さんの現在
では、今回の事例を踏まえ芳香さんはどうするべきであったのだろうか。結論は簡単だ。そもそもお金を貸さないか、贈与すればいい。そうすればお金の貸し借りに基づくトラブルは発生しない。身も蓋もない話だが、親族間、それも近しい姉妹だからこそ甘えが生じる。お金の貸し借りなどよほどでなければするべきではない。額が100万円単位となればなおさらだ。
また、もし貸し借りをしたとしても公正証書を作成して絶対に逃げられないようにしておくべきだ。公正証書は一般的な契約書と異なり、裁判で勝たなくとも差し押さえができるためより確実にかつ簡易的にお金の取り立てが実現できる。
大きなデメリットとして公正証書は原則として当事者が公証役場と呼ばれる場所に出向く必要があるため作成に時間と手間、そして内容に応じた手数料がかかるといったものがある。
時にそれらを理由に公正証書を作成することへの抵抗を示す者もいる。だが、その程度の手間すら惜しむ相手であれば、まずお金を貸すべきではない。お金の重みをよく理解していないからだ。
現在、芳香さんと紗矢さんは絶縁状態。紗矢さんに至っては実家に全く寄り付かないようになった。
繰り返しになるがお金の貸し借りは家族、それも仲のいい姉妹の関係も簡単に壊す。それが100万円や200万円と現実的な金額的であってもだ。お金の貸し借りは家族間でも簡単にはしないことが理想だ。もし、するのであれば公正証書でガッチリと地盤を固めてからにするべきだろう。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※登場人物はすべて仮名です。