<前編のあらすじ>

似ても似つかない姉妹の芳香さんと紗矢さん。姉の芳香さんは学生時代からまじめで文武両道。大学を卒業後は大手企業で働き仕事に打ち込んできた。実家にもある程度のお金を入れつつ、毎月何万円もの貯金をしていた。

一方、妹の紗矢さんは自由奔放で学業も不振。高校をなんとか卒業するものの定職に就けずフリーターの道へ。そのうえ情報商材やネットワークビジネスに手を出しては失敗し、気づけば借金200万円を抱えていた。

ある時「人生をやり直したい」と考えた紗矢さんは家族に大学進学の希望を伝える。芳香さんは妹の夢を応援するため140万円を貸した。

それから7年。大学を卒業後に就職してからも、紗矢さんには一向に借金を返す気配がなかった。ついに堪忍袋の緒が切れた芳香さんは事前に作成していた契約書を突き付けた。

●前編:【「なんで私が悪者なの?」他責志向でお金にだらしない妹…大迷惑を被った姉が突き付けた「1枚の紙」】

かつて作成した契約書の存在

実のところ紗矢さんと芳香さんはお金の貸し借りをする際に契約書を結んでいた。さすが芳香さん、抜かりない。有名大学の法学部で学んだ知識をしっかり社会人になっても維持している。「契約は口約束として有効だが、それだけでは強制執行はできない」ということをしっかり覚えていたのだ。

契約自体は有効だが、書面として契約書を残していないばかりに言い争いが収まらず、言った言わないの押し問答が続いて泣き寝入り。特にお金の貸し借りではこういったトラブルは少なくない。

抜かりのない芳香さんはこの点をしっかり覚えており、紗矢さんと契約書を結んでいたのだ。だが、ここですんなりと芳香さんが紗矢さんの預金口座を差し押さえて問題解決、とならないのが現実だ。