「なぁ……、田中に勢いで金貸すことになっちゃいそうなんだけど……」

先日、先輩の木田(仮名)から電話でこんな相談を受けた。聞くところによれば、私と共通の友人である田中(仮名)とのお酒の席で、木田は気が大きくなってしまい、ついやってしまったのだとか…

今回はそんなお酒とお金のトラブル事例を読者諸兄に紹介しよう。

「先輩のお金」を狙っていた後輩

田中は学生時代から起業を目指していたと聞く。最近ようやく実り、「資金さえあればできる」という状態まで来たが、そこで止まっていたようだ。

それゆえ田中は木田に何度もお金を貸してほしいと相談していた、と聞く。

実際、私が居合わせた場でも、田中は「先輩、事業を始めたいんです。もしお金を貸してくれたら、必ず倍以上にして返します」と懇願していた。
ただ、田中の事業計画は詰めが甘いもので、私が見ても不安な面があった。当然、木田もお金を出したいとは思えなかったようで「もっと事業の形が堅いものになってからだな。俺を唸らせるぐらいになったら考えてやるよ」と返していた。

ところが、田中の事業は徐々に実を結び始めた。積極的な起業を奨励する風潮になってきたことも影響したのかもしれない。
田中自身もビジネス経験を積み、そのおかげで具体的な事業計画書もでき、顧客も徐々についてきていた。

このように、事業が堅いものになってきた段階で、田中は木田に再び資金の相談を持ちかけたのだった。

しかしそれでも木田は「まだ早い」と従来通り拒否したという。

木田からその話を聞かされた時、私は本心では「貸す気がない」のだと私は気づいた。木田には後輩の前でいい顔をしたいという見栄っ張りな部分があり、そのせいできっぱり拒否できないだけなのだろう……と思ったのだった。