クーリングオフをすればどんな状況でも返金が受けられる。そう思っている方は多い。テレビや雑誌ではクーリングオフが万能なカードであるかのように語られる。だが、実態はそうではない。インターネット通販ではクーリングオフが適用されず途方に暮れる高齢者もいる。今回はコロナ禍においてインターネット通販で買い物を繰り返したとある高齢女性の事例を紹介しよう。

コロナ禍でインターネット通販にはまった田中さん

今回私が紹介するのは田中さん(72歳・女性)だ。

田中さんはこれまでテレビで通販番組を見て「こんな商品があるのか」と漠然と眺めるのが趣味だった。そして後日似たような商品をお店に見に行く。こんなことを繰り返していた。見るだけで満足していたためそれらを買うようなことは特になく、お金がかからない1つの趣味として完結していた。

そんな田中さんの趣味が激変したきっかけは昨今の感染症の流行だ。外に出ることがなくなり、暇を持て余すことが増えた。その代わりに触れる機会が増えたのがスマートフォンだ。

最初は息子夫婦と日常のやり取りをしたり、孫と写真の交換をしたりする程度のたわいのないものだった。だがしかし、ある日孫が誕生日プレゼントをねだるのに大手通販サイトのページを送ってきた。そこが運命の分岐点となった。