<前編のあらすじ>
都会への転職を控えた高橋陽菜さん(仮名)は、引っ越し費用に困っていたところ、大好きな祖母からLINEで「50万円、来年の引っ越し祝いとしてあげるから楽しみにしててね」というメッセージをもらい安堵していた。しかしこの約束の数カ月後、祖母が突然この世を去ってしまう。
高橋さんは喪失感に苦しみながらも、約束された援助のことが気がかりだった。そこで葬儀後の相続の話し合いの場でLINEでの約束について切り出すと、叔母や父から否定的な反応をとられてしまう。
●前編:【祖母が孫とLINEで交わした“微笑ましいやりとり”がまさかの相続トラブルに発展…引っ越し祝いの約束が引き起こした悲劇】
無視されてしまった祖母の想い
高橋さんが祖母との約束を主張すればするほど、親族内での立場は悪化。今では「お金に意地汚い女」と思われてしまっている。
高橋さんはショックだった。祖母は確かに援助の申し出をしてくれたし、高橋さんもそれを信じて準備をしていた。それが、「LINEじゃ効力がない」の一言で親族一同から片づけられてしまったのだ。
父や叔母は法的な観点を持ち出すばかりで、祖母の“想い”には触れようとしなかった。高橋さんは抵抗しようと思ったが、親族の誰も味方にはなってくれなかった。
「裁判でもするつもりか? 親族を相手に? 俺の顔に泥を塗るつもりか!」
父のその一言に、彼女は完全に心が折れた。50万円。彼女にとって金額はもはや問題ではなかった。だが、結局は親族からの圧力、LINEでのやりとりで書面がないこと、そして“自分一人だけ”が主張しているという孤立感の中で、高橋さんはすべてをあきらめた。