亡くなった人が自宅に保管していた遺言書が掃除をしていた際に見つかる。これ自体はさほど珍しいことでもない。ただ、もし、あなたが家族の遺言書を見つけたらどうするだろうか。開封したくなったり、自分に不利な内容を隠したくなったりしないだろうか。今回は、たまたま見つけた遺言書を出来心で開封、そして破棄してしまった良樹さんの話を紹介する。

仏壇の掃除で見つけた「謎の封筒」

良樹さんは18歳から進学を機に上京。地元には2人の兄弟(直樹さんと正樹さん)と年老いた父親、隆さんがいた。家族仲は良好で、長期休みには必ず帰省をするほどだった。良樹さんはその度に隆さんに頼まれて掃除や模様替えを行っていた。

今回の事件が起こったのは隆さんが亡くなった年の、5月のことだった。3人兄弟でそろって集まり実家で掃除をしていた。その時に良樹さんが仏壇にある棚の奥から、場違いな雰囲気を放つ「謎の封筒」を見つけたのだ。

不思議に思い、封筒を取り出す良樹さん。そして好奇心から思わず封を開けて中身を読んでしまう。

「今思えばそんなところに封筒がある時点で疑問に思うべきで、まずは開封前に兄弟に報告すべきでした」

後に良樹さんは当時のことをそう振り返る。