見かねた芳香さんが140万円を支援
とはいえ、20代後半から勉強を開始して200万円の借金を返しながらの大学進学というのはそう簡単なことではない。
さらに、彼女の希望する大学は姉である芳香さんと同じ難関私立大学だ。年齢を考えて2年以内に進学というのが彼女の目標だが中学レベルの基礎さえ怪しい彼女にとってはとても高い壁である。
それを見かねた芳香さん。実は芳香さんは持病の治療中でそこまで金銭的余裕があったわけではなかったが、紗矢さんが勉強に集中できるようにと、借金全額の肩代わりと受験費用の援助を申し出た。
「きちんと卒業していい会社に就職して、お金を返してね」
そう言って支援の一環として140万円のお金を妹である紗矢さんへ貸すこととなったのだ。
それから7年後
あれから7年、紗矢さんは無事志望校に合格し今は卒業。就職先は準大手の有名企業に就職。姉の芳香さんほどではないがキャリアを重ね安定した収入を得るまでになった。
堅実に生活していれば多少なりとも貯金がたまっているころだろう。しかし、一向に芳香さんから借りた140万円のお金を返す気配はない。
芳香さんは「紗矢もいろいろ頑張ってたし……」と返済の遅れを大目に見てきたが、7年もたてば流石に我慢の限界が近づいていた。そしてとうとう、妹の紗矢さんに「そろそろお金を返してほしいんだけど」と話を切り出した。
そこで「はいそうですか」と首を縦に振らないのが紗矢さん。むしろ「私お金ないから返せないよ」。そう開き直って笑って見せた。
これには芳香さんも堪忍袋の緒が切れた。
「契約書があるんだし差し押さえするからね⁉」
そう言って、事前に用意していた契約書を紗矢さんに突き付けた。
●法学部出身の芳香さんはトラブルを避けるために事前に契約書を作成していました。契約書を突き付けられた紗矢さんは、すんなりお金を返したのでしょうか? 後編【いくら家族でも“してはいけない”ことがある―温厚な姉がズボラな妹との絶縁を決めた「決定的な出来事」】で詳説します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※登場人物はすべて仮名です。