障害年金を提案するも断固拒否される

「では、障害基礎年金の請求を検討してみましょうか。仮に障害基礎年金の2級に該当した場合、障害基礎年金と障害年金生活者支援給付金の合計で月額7万4758円になります(2025年度の金額)。ただし障害基礎年金を請求するためには、まず賢吾さんが精神科や心療内科を受診し、さらには発達障害の検査を受けて、発達障害の診断を受ける必要があります。なお、請求できる時期は初診日(その障害で初めて病院を受診した日)から1年6カ月を経過した日以降になります。受診してすぐに請求できるわけではありません。そのため、初診日から1年6カ月に達するまで定期的に通院をしておくことが望ましいでしょう」

この説明を聞いた母親は残念そうに言いました。

「請求まで1年6カ月……。そんな先になるのですね。でも、受診は早い方がよいですよね。その分、請求できる時期も早まるわけですから」

すると賢吾さんが再び口を開きました。

「病院で検査を受けたり通院を続けたりするなんて、俺はそんな面倒なことはしたくありません。断固拒否します。そもそもこんな生活になったのは両親のせいです。両親が何とかするのが当たり前でしょう? なんでわざわざ俺が動かなければならないんですか?」

節約、住み替え、就労支援、障害年金。これらの提案に対し、賢吾さんは歩み寄りの姿勢を見せることは一切ありませんでした。

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※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。