ひきこもりの長男と父親が言い争いのけんかを繰り返すようになってしまい、父子の仲は日に日に悪化。心配した母親は長男を別居させることも検討しましたが、金銭面での見通しが立たず、別居について父親の理解も得られませんでした。
家族で話し合った結果、長男はある決断をしました。その決断とは一体どのようなものだったのでしょうか。
「やればできる」と思っていた一人息子が20代からひきこもりに
「20年以上ひきこもっている長男について相談したい」
母親からそのような依頼を受けた筆者は、家族会議の場に同席することになりました。
相談者の家族構成は次の通りです。
長男 杉浦隆さん(仮名、40歳) 無職、20代の頃からひきこもり
父親(70歳) 年金生活者
母親(68歳) 年金生活者
※隆さんに兄弟姉妹はいない
杉浦さんの自宅を訪れた筆者が母親に案内されてリビングに入ると、そこには父親と隆さんがいました。お互いの自己紹介を終えた後、筆者は隆さんの状況から伺うことにしました。
隆さんは幼少期の頃から落ち着きがなく、親が目を離した隙にどこかへ行ってしまうような子だったそうです。学生時代、勉強はほとんどできず、成績表は1や2ばかり。人付き合いも苦手で、友人もほとんどいなかったそうです。
そんな隆さんに対して母親は「もっと頑張りなさい。やればできるはず」と叱咤激励をしてきましたが、何も変化は起きませんでした。
当時、父親は仕事一筋で、家の中のことは母親に任せっきり。隆さんのことについて口出しすることはほとんどなかったそうです。