アルバイトも長くは続かず…働くことに自信を失った隆さん
なんとか高校を卒業できた隆さんは「もう勉強はしたくない」と言い、大学には進学せず就職することにしました。
しかし、書類選考で落とされる、面接を受けても不合格になってしまうということを繰り返し、なかなか就職することはできません。
仕方がないので、隆さんはコンビニや居酒屋などでアルバイトをすることにしました。実際に仕事をしてみると、上司の指示が理解できない、仕事がなかなか覚えられず作業も遅い、上司から叱られてしまうことが多いといったことで、いずれのアルバイトも長続きしませんでした。
働くことにすっかり自信を失った隆さんは次第に外出する頻度も減り、20代の頃からひきこもりのような生活をするようになってしまいました。
「さすがに何かがおかしい」
母親はそう感じ、書籍などでいろいろ調べるようになったそうです。そして「ひょっとしたら、この子には発達障害があるかもしれない」と疑うようになりました。
母親は隆さんを説得し、大人の発達障害も診てくれる病院を受診させました。検査の結果、隆さんには発達障害があることが分かりました。その後、隆さんは医師の勧めで障害基礎年金を請求。無事、障害基礎年金の2級が認められました。年金収入が得られるようになった隆さんはその後も仕事をすることはなく、自室で静かに過ごす日々を送ってきたそうです。
父親のリタイアで父子の関係が悪化
しかし、そのような平穏な生活は父親が70歳になった後に一変してしまいました。
父親は70歳になったのを機に仕事を完全にリタイア。家の中で過ごす時間が増えたためか、急に家の中の様子が気になりだしたようで、ひきこもり状態にある隆さんに苦言を呈するようになったのです。その苦言に対して隆さんも反発。毎日のように言い争いのけんかをするようになりました。
父子の仲がどんどん悪くなっていくのを心配した母親は、隆さんを別居させることも考えるようになりました。別居に関しては隆さんも同意を示しています。
その一方で父親は隆さんの別居に反対。
「別居費用は親が負担することになるのだろう。うちにはそんなお金はない」というのが父親の言い分のようです。