<前編のあらすじ>

森美咲さん(仮名・20歳)の母親が、娘の障害年金受給について相談に訪れました。教育熱心な母親のもとで育った美咲さんは、「あなたはやればできる子よ。もっと頑張りなさい」という母親の言葉に応えようと必死に勉強していましたが、進学校の授業についていけず心を病んでしまいます。17歳で適応障害と診断され高校を中退、その後ひきこもり生活となりました。

現在は化粧品や洋服への支出が月10万円に及ぶこともあり、お金を断られた際には包丁を母親に向けるまでに状況が悪化。「こんなことになったのは誰のせいだ!」と母親を責め続ける美咲さんに、母親は疲れ果てています。

●前編:【「お前が責任を取れ!」ひきこもり女性が親に月10万円の小遣いを要求するも拒否され…逆上の末にとった「危険すぎる行動」】

障害基礎年金2級なら月額7万4758円だが…

「こんなことになってしまったので、せめて長女が障害年金を受給できればよいのですが……。何とかなりませんか」

母親は疲れた様子でそう言いました。

美咲さんが心の不調により初めて病院を受診した時は17歳頃で、適応障害と診断されました。初めて病院を受診した日(初診日)は公的年金に加入する20歳前だったので、障害基礎年金を請求することになります。

障害基礎年金には1級と2級があり、より障害状態の重い方が1級となります。仮に障害基礎年金の2級に該当すると、金額は次のようになります。

障害基礎年金 6万9308円
障害年金生活者支援給付金 5450円
合計 7万4758円
※いずれも月額換算で2025年度の金額

そこまで説明した筆者は、さらに次のようなことも母親に伝えました。

「聞き取りをした限りでは、お嬢さまが障害基礎年金を受給することはかなり難しいと思われます」

「え? そうなんですか? それはなぜですか?」

母親は驚きを隠せず、声が少し大きくなりました。