限界を超えた時に取るべき最終手段

面談の最後に母親は、このような質問は専門外になるかもしれませんが、と前置きをしたうえで筆者に聞いてきました。

「長女が1万5000円のお小遣いの範囲内でやりくりできるよう、何かよい方法はありますでしょうか?」

「そうですね……。それはかなり難しい質問だと思います。私は社会保険労務士なので障害年金のご相談をよく受けるのですが、その際に当事者やご家族から『ストレス発散のためお金を必要以上に使ってしまう。頭では分かっているのにどうしてもやめられない』といったお話を聞くことがあります。医師の指導を受けたりカウンセリングを受けたりしている方もいますが、なかなか改善は難しいようです。これといった解決策は見当たらないのが実情のようです」

「そうなのですね。皆さんも苦しんでおられるのですね……」

「とはいえ、お金は無尽蔵にあるわけではありません。いつかどこかの時点ではっきりと線引きをしなければいけない時が来ると思います。その時、お嬢さまが興奮してしまい手が付けられず、親御さんが命の危険を感じるようであれば、警察を呼ぶまたは親子で別居をするといったことも考えなければならないでしょう。ためらうことはせず、親御さんの命を守る行動をとるようにしてください」

それを聞いた母親は、少し寂しそうな表情でうなずきました。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。