物価高騰や老後不安が叫ばれる現代、定年退職を機に理想のセカンドライフを追い求める人は少なくありません。しかし、人生の最終ステージにおける大きな決断には、家計を根底から揺るがす予期せぬ落とし穴が潜んでいます。もしもパートナーが独断で大金を投じ、日常が暗転したら、あなたならどう行動しますか?
理想の田舎暮らしのはずがなぜ…消えた老後資金
「私たちの35年間を、こんな場所で終わらせろっていうの!?」
私がそう叫んで夫の胸ぐらをつかんだとき、パチパチと薪ストーブの爆ぜる音だけが寂しく響いていた。目の前にあるのは底をつきかけた通帳の、あまりにも寂しい残高の文字だった。
半年前、私たちは東京からこの山奥に移住してきた。定年を迎えた夫の隆史(62歳・仮名)が、「美智子、これからは自然に囲まれてスローライフを送ろう」と言い出したのが始まりだった。
私はパートを辞め、住み慣れた杉並区のマンションを売り払い、夫の退職金2500万円と売却益を合わせた4000万円近い老後資金を持って、この地へやってきた。それが、地獄の始まりだとは知らずに。
