<前編のあらすじ>

大学進学で実家を出た息子の部屋を片付けていた高橋美穂(45歳)は、思い出の詰まった知育玩具や絵本をフリマアプリに出品する。しかし、手間に対して手元に残る利益はわずかで、割に合わないと感じていた。

そんな中、ワンオペ育児中という購入者へかつての自分を重ねた美穂は、荷物に応援のメッセージを添えて発送する。

●前編:「時給換算では赤字だけど…」フリマで思い出の品を売る45歳主婦が、“利益度外視”で仕込んだ「1通のメッセージ」

画面を埋め尽くした「異例の長文メッセージ」

荷物を発送してから三日後の夜、美穂のスマートフォンが短く震えた。画面を見ると、フリマアプリから「受取評価がされました」という通知が届いていた。

アプリを開いた美穂は、目に入ってきた文字の量に思わず息を呑んだ。通常なら「無事に届きました。ありがとうございました」の一言で終わる評価欄に、画面をスクロールしなければ読み切れないほどの長文が、びっしりと綴られていたのだ。

評価:良い(購入者:ゆきママ)

『商品を受け取りました。丁寧な梱包と、とても綺麗な状態のおもちゃをありがとうございます。そして何より、本に挟まれていたお手紙を読み、涙が止まりませんでした。

実は今、夫が出張がちで頼れる身内も近くにおらず、初めての育児に完全に心をすり減らしていました。息子が夜泣きをするたびに「私の育て方が悪いのかな」と自分を責め、日中は誰とも話さないままスマートフォンの画面を眺める日々でした。

このおもちゃを選んだのも、少しでも息子が一人で遊んでくれたら、その間に少し休めるかもしれないという、不純な理由からでした。届いた箱を開け、温かいお手紙を見つけたとき、張り詰めていた糸が切れたように涙が溢れてきました。見ず知らずの私に「毎日お疲れ様」と言ってくださる人がいる。それだけで、どれほど救われたか分かりません。

いただいたおもちゃで、今日、息子が声を上げて笑いました。その笑顔を見て、私も久しぶりに心から笑うことができました。「振り返ればすべてが愛おしい時間」という言葉を胸に、明日からまた、この子と一緒に少しずつ歩んでいこうと思います。お金では買えない宝物をいただきました。本当に、本当にありがとうございました』