<前編のあらすじ>

休日、長男のサッカーの試合に出かけるために、家事や次男の世話にバタバタする亜美を尻目に夫の脩人は手伝おうとしない。やっとの思いで出かけたものの、長男の初のスタメンでの活躍を見逃してしまう。

帰宅後もなお「昼飯は?」と言い放つ脩人に、亜美の怒りは爆発。「私にだけ休みがないのはおかしい」「家事は労働ではないのか」と日頃の不満をぶつける。脩人はこれに反論できず、ようやく自分の非を認める。

反省した脩人は「主婦休みの日」に家事のすべてを自分が担当すると宣言し、亜美は久しぶりに友人と会い休日を楽しむが、家事育児に不慣れな夫が家を任されて無事に過ごせているか、徐々に不安を募らせる。

●【前編】「俺は仕事、お前は家事」と言い放つ夫に我慢の限界…ワンオペ育児地獄の妻が放った「ド正論」

自宅に戻るとそこは惨状

亜美は両親と夕食を食べる予定でいたが、膨れ上がった嫌な予感は収まらず、けっきょく家に帰ることにした。

家についたのは夕闇が迫る時間。亜美は恐る恐る玄関のドアを開く。亜美が目の当たりにしたのは荒れ放題になった廊下だった。散らばった玩具や洋服がリビングまで続いている。

リビングでは、ぐったりとした脩人がソファで横になっている。亜美は足場に気をつけながら脩人に近づいた。

「ちょっと、なにこれ?」

声をかけると脩人はゆっくりと目を開ける。そして亜美の存在に気付き、焦ったように起きる。

「あ、いや、こ、これはさ……! すぐに片付けようと思ってて……!」

「酷い有り様ね。何があったのよ?」

不思議と怒る気持ちは出てこなかった。それよりも原因のほうが気になった。

「孝明の着替えを出そうと思ったんだけど、全然場所が分からなくて。あと、リビングで一緒に遊ぼうとしたら夢中になってこんな感じになっちゃったんだよ。一緒に片付けようって言ったんだけど全然言うこと聞かなくて……」

「あっそ。よっぽど楽しかったみたいね」

台所を見ると料理をしようとした形跡が残っていた。

「ご飯はどうしたの?」

「何とかチャーハンだけは作れたからそれを昼は食べさせた」

脩人は申し訳なさそうに話す。

「もう博樹は帰ってきてるのよね?」

「ああ。今は部屋で二人で遊んでいる。あいつのほうがよっぽど面倒見るの上手いな……」

孝明のことは博樹に任せておけばいいだろう。亜美はそう考えて腕まくりをした。

「それじゃ早く掃除を終わらせちゃいましょう。私、夜食べてないからお腹ペコペコなんだから」