家事に協力的になった夫
その日から脩人は本当に家事に協力をしてくれるようになった。
元来、不器用な人なのですぐにできるようになるわけではなかったが、着実に色々なことがやれるようになっている。ただ最近は少し困った事態になっている。
「ねえ、パパ、まだぁ?」
孝明はリビングから台所にいる脩人に不満げな声をかける。
「ああ、大丈夫だから。そこで待ってろ」
脩人はスマホでレシピを確認しながら、料理を作っている。
最近妙に凝りだしてしまった脩人はスパイスからカレーを作ったりと、やたら手間のかかることに挑戦していた。何でもやろうとしてくれる気持ちはありがたいのだが、できないことを勝手にやり始めるのは勘弁してほしい。
亜美は呆れた目線を脩人に向ける。
「私がやろうか?」
「いや、大丈夫。今日は俺がやるから休んでて」
脩人は焦った顔をしながらこちらに返事をする。休まらないから言ってるのだと気付いてほしい。まったくやらないのも問題だったが、やり過ぎるのも問題なんだなと四苦八苦している脩人を見て亜美は頭を抱えた。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
