フリマアプリに支配された父の日常
「何とか足の踏み場を探しリビングに入ると、ゴミにまみれたソファで父がスマホをいじっていました」
永田さんが稔さんのスマホを取り上げて画面を見てみれば、まさにフリマアプリで買い物をしている最中だった。
「もしかしてこれ(家中のゴミ)、全部アプリで……?」
永田さんが恐る恐る尋ねる。それに対して稔さんは「ああ、そうだ。そろそろスマホを返せ」と迫る。この時、永田さんは唖然として何も言えず、素直にスマホを返してしまったという。
冷静になるためにその日は、「近いうちに実家にまた戻るから」と転勤の終わりを告げてすぐに転勤先へ戻った。
そこから数カ月後、予定通り転勤を終えて実家に戻った永田さんは稔さんに尋ねる。
「これはどういう状態なんだ」
稔さんが答える。
「必要なものを揃えているだけだ」
しかし、家にあるのはどう考えても不要なものばかりだ。よくわからない食器や服、雑貨や小物に至るまでどれも必要だとは思えない。
この日から買い物依存症に陥った稔さんと向き合う“地獄の日々”が始まった。
●父・稔さんの買い物依存を止める方法はあるのか? 永田さんの苦悩と驚愕の結末は、後編【「口座残高を見て驚愕」定年後、母を亡くした孤独で変わり果てた父…向き合い続けた息子を襲ったまさかの結末】で詳説します。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。