老齢年金の受給資格を満たしていれば、その支給開始年齢が近づく頃に年金請求についてのお知らせが届くようになります。しかし、本当は受給できるようになる時期なのに、届かないケースもあります。

年金は65歳からという思い込み

佳世さん(仮名、65歳)は結婚してすぐに退職してからはずっと専業主婦です。子どもは全員社会人となって離れて暮らすようになり、現在は夫の耕一郎さん(73歳)と暮らしています。佳世さんは大学を卒業した頃、1年ちょっとだけ会社に勤めていました。そこは親戚の紹介で入社した地元の小さい会社でした。大学生の頃から既に耕一郎さんとの結婚の予定をしており、大学卒業後1年も経たないうちに結婚したこともあって、会社の在籍期間も短いものとなっていました。退職後は30年以上、会社員である耕一郎さんの扶養に入っていました。

佳世さんは、自身の親世代と異なって年金が受け取れるのは65歳からだという情報を得ていました。「8歳上の夫は何とか60歳から年金を受けられたようだけど、少子高齢化で年齢は60歳から65歳へと引き上げられているのね。仕方ないね……」と納得します。過去に送られてきた「ねんきん定期便」にも65歳開始としての老齢基礎年金の見込額が表示されています。