遺産相続における生命保険の存在について考えたことがあるだろうか。何気なく契約した生命保険の存在によって遺産相続が大きくかき乱されるということもある。今回は生命保険によって相続がかき乱された田辺兄弟の話をしよう。
生命保険金1000万円の受取人は弟のみ⁉
田辺兄弟は年子の2人兄弟だ。家族はといえば、父・弘樹さんと長男・竜彦さん、次男・康介さんの3人だった。父親が亡くなった後、2人は悲しみに暮れながらも相続の手続きを進めることになった。
父の遺産は預貯金や自宅、生命保険などを含めて約2000万円。兄の竜彦さんがまずは口を開く。
「父さんの財産をどう分けるか考えようか……」
だが、その過程で意外な事実が判明した。
父の生命保険金1000万円の受取人は、全額康介さんだったのだ。
その過程で遺言書も見つかったのだが、結局そこには「相続財産は兄弟で半分ずつになるように分けること」としかなく、保険金については触れていない。
「……なんで?」
竜彦さんは驚いた。
「生命保険の受取人、俺じゃなくて康介なのか?」
康介さんは申し訳なさそうな顔をした。
「兄さん、俺も知らなかったんだ。父さんがそう決めてたみたいで……」