そして気が付いたこと
帰り道、手をつないで歩きながら、春美はふと思った。
この人となら、どんなことがあっても大丈夫だ、と。
春美が太っていようが、痩せていようが、失敗しようが、笑われようが、雅史は、春美の全部を受け止めてくれる。そして、春美もまた、そんな雅史を支えていきたいと思った。
「春美」
雅史が立ち止まり、春美を見つめた。
「ありがとう。春美のおかげで勇気が出た。情けない話だけど、母親に面と向かって反抗したのは初めてなんだ」
「情けなくなんかない。格好良かったよ」
「そう?」
「うん、でも次からは私が自分で言い返す。『余計なお世話ですよ』ってね」
「お、頼もしいな」
顔を見合わせて一頻り笑い合うと、春美たちは夕焼けに染まる道を再び歩き出した。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。