<前編のあらすじ>
64歳の知樹さん(仮名)は来年65歳で退職し、年金生活に入る予定です。2歳年下の妻・広美さん(仮名)は元教員で学習塾講師の経験もあり、厚生年金に合計26年加入していました。知樹さんは配偶者加給年金で2年間約80万円がもらえると期待していましたが、「夫婦共働きで配偶者が厚生年金に20年加入していると受け取れない」という情報を知り、「加給年金は出ないってことになるのか」と不安になります。
心配になった夫婦は年金事務所へ相談に行き、知樹さんは「加給年金は妻の厚生年金の加入が20年以上あるとダメだとも聞いています」と職員に相談。結果、加給年金は受け取れることが判明しました。
●前編:【妻の厚生年金加入は26年…65歳からの年金生活、加給年金はもらえる? 元教員妻と退職前夫が直面した年金制度の謎】
広美さんが63歳から受けられる年金は?
広美さんは公立中学校教員(公務員)としての厚生年金加入期間と、学習塾勤務による民間企業の厚生年金加入期間と、両方の期間があります。2015年10月の被用者年金一元化により、公務員としての厚生年金加入期間分についても、民間企業の厚生年金加入期間分同様、老齢厚生年金として受給することになっています。広美さんはそれぞれ10年と16年あり、合計で26年あります。
しかし、女性の場合、それぞれの厚生年金の支給開始年齢が異なっています。広美さんは1963年生まれであるため、民間の厚生年金加入期間16年分についての特別支給の老齢厚生年金(特老厚)が、63歳から65歳になるまで2年間支給されることになっています。一方、公立中学校教師だった期間10年分については特老厚がありません。
65歳になると特老厚はなくなり、年金の内訳が変わります。65歳からは公務員の厚生年金加入期間(共済加入期間)で計算された老齢厚生年金と経過的職域加算、民間企業の厚生年金加入による老齢厚生年金、そして老齢基礎年金が支給されるようになっています。つまり、63歳から受け取れる民間企業の厚生年金と、65歳から受け取れる公務員の厚生年金とで、支給開始の年齢が異なっていることになります。
もし同じ加入記録でも男性であれば1963年生まれの人に特老厚はなく、65歳からの年金のみとなりますが、女性の場合は特老厚が受けられることになります。