<前編のあらすじ>
的場義久(70)は車のヘッドライトを売る会社の創業者。社長をしりぞいた今も会長として経営を引っ張っている。
その的場の会社の長年の課題だったのが、インターネット販売の強化。ただ、社内にIT人材がいないため、外部のコンサルに依頼して、まず会社のHPのリニューアルから取り組むことになっていた。
責任者として、社長の高原かおりと、営業担当専務の米倉毅志を指名し、元外資系のコンサル松沢拓也とともに仕事を進めるよう指示してあった。
ただ、最初の打ち合わせで、コンサルの松沢が、米倉を怒鳴りつけるというトラブルが発生してしまう……。
●前編:【「バカとは仕事にならない」元外資系コンサルが激怒…ITにうとい零細企業専務が怒鳴られた意味】
「私からひと言言うことにしよう」
的場は呆れてしまった。元外資系の優秀な人材とは聞いていたが、その松沢というコンサルはまだ40歳手前くらい。それが60歳手前の米倉を頭ごなしに怒鳴るのはいくらなんでもやりすぎだと思った。
高原かおりは憤懣やるかたないといった表情を浮かべている。一方、松沢に怒鳴られた米倉は、しょげかえっていた。
さすがにフォローが必要だと感じたため、的場は言った。
「いやいや、米倉君は悪くないよ。そういう基本知識から教えてもらいたいから、高いコンサル料を払っているんだよ。多少初歩的な質問をしたからといって、頭ごなしに𠮟りつけるのはさすがに良くないな」
「そう言っていただけると助かります……」米倉は青い顔で頭を下げた。
その様子を見て、的場はため息をつく。
「仕方ない。私からひと言言うことにしよう。松沢さんはまだいる?」
的場が聞くと、高原かおりが答えた。
「はい、まだ会議室におられます」
「分かった。いまから行く」そう言うが早いか、的場は社長室の椅子から立ち上がった。
