<前編のあらすじ>
シングルマザーの郁美は、専門学校に入学した18歳の娘・葉月がバイトを始めたことを頼もしく感じていた。以前は甘えてばかりだった葉月が自分で身の回りのものをそろえるようになり、子離れの寂しさと安堵を同時に抱えていた。
ある日、リビングを片づけていた郁美は、クレジットカード会社からの督促状を偶然見つけてしまう。10万円を超える未払い金額が記されていた。葉月が自分に黙ってカードを作っていたことすら知らなかった郁美は衝撃を受ける。
お小遣いをねだらなくなったのは、カードの存在があったことを悟った郁美は、怒りを抱えながらも葉月にメッセージを送り、帰宅後に話し合うことを決めた。
●前編【「何に使ったの…」専門学生の娘が黙って作ったクレジットカード…10万超の請求にシンママ絶句】
封筒を前にした母と娘
午後8時半を少し回ったころ、玄関のドアが開く音がした。
郁美はソファに腰かけたまま、そのままリビングの入口へ視線を向ける。間もなく部屋に入ってきた葉月は、いつものように「ただいま」と口にしかけて、空気の重さに気づいたらしい。肩にかけていたバッグを下ろし、その場で立ち止まる。
「……なに、その顔。どしたの?」
「座って」
「え、ほんとに何なの」
渋々席に着いた葉月。郁美はテーブルの上に置いてあった封筒を、無言のまま葉月の前へ滑らせた。
その瞬間、葉月の表情は引きつり、視線が落ち着きなく揺れた。
「これ、どういうこと」
葉月はすぐには答えなかった。無言のまま封筒を手に取っては、また置く。そんな所在なげな動きを見ているうちに、郁美の中で怒りがじわじわと広がっていく。
「クレジットカード、作ったの」
「……うん」
「いつ」
「入学して、少ししてから……ゴールデンウィークの前くらい」
「なんで黙ってたの」
葉月は唇を引き結んだまま黙っていたが、やがて観念したようにゆっくりと口を開いた。
「だって……もう高校生じゃないし、別に言わなくてもいいかなって。友達から、親の許可いらないって聞いてたし」
「それで使い過ぎて支払い遅延?」
「……こんなに使うつもりじゃなかったの。学校で必要なものを買ったり、友達と買い物に行ったり、そのくらいで」
「そのくらいで、月10万円も使うの?」
「だから、最初は大丈夫だと思ってたんだって」
語気が少し強くなる。まずいと思ったのか、葉月は気まずそうに髪を耳へかけた。
