郁美が選んだ母としての答え

葉月はしばらく考え込むように黙っていたが、やがてぽつりと言った。

「……ごめんなさい」

その一言で、郁美はわずかに肩の力が抜けるのを感じた。

「……まずいことしたって、分かった?」

「うん、やっと分かった。私、そんなに大変なことだって認識なかった。ほんとに、ばかだったと思う」

うなだれた葉月の横顔を見て、郁美は督促状をテーブルに置く。

「今回は、ママが立て替えとく」

「いいの?」

「うん。でも、あげるんじゃないよ。貸すの」

「分かってる。ちゃんと返すよ」

「なら、どうやって返すか自分で考えて決めて」

郁美がそう言うと、葉月は大きく息を吸い込んで天井を仰いだ。

「バイト代、月にどれくらい入るの」

「多いときで7万とか? テスト期間とかは5、6万くらいかな」

「毎月の出費は把握してる?」

「えーっと、スマホ代とお昼ごはん……あとは、学校で使う細かいの……ちょっと待って書き出してみる」

葉月は美容院、服、友達との外食、コンビニ、音楽のサブスクと、1つずつ書いていった。合計金額を見たところで手が止まる。

「うわ、こんなに使ってたんだ」

「カードだと明細見るまで気付きにくいでしょ」

「そうだね。全然分かってなかった」