「モームリ」から病院に電話すると…
産休・育休を機に、会社を辞めたい(辞めざるを得ない)という相談は本当に多く寄せられます。産休・育休は法律で認められた権利です。ただ人手不足のなか、そのしわ寄せが同僚に及ぶのが目に見えているので、会社や上司に直接は言いづらいのです。
「産休を使った先輩がパワハラを受けたのを見て、ショックを受けた」
「産休手当、出産祝い金の申請方法を教えてくれない。子どもの保険証も心配なので、会社と交渉してほしい」
「産後うつになってしまったから、自ら出向いて辞めると言えない」
「頼りになる先輩が産休を取ると聞き、これ以上、人の少ない職場で仕事を続けられる自信がないので辞めたい」
このような産後・育休に関連する退職相談は枚挙にいとまがありません。
結局、岩船さんの職場に弊社の担当者が電話すると、病院側もハラスメントを表沙汰にされたくなかったのか、すぐに退職が認められました。未消化だった有休休暇をすべて消化し、退職金もきちんと支払われました。
離職防止のための第一歩は「本音」を知ること
多くの病院が産休・育休明けの離職をどう防ぐかに頭を悩ましています。
以前、私は「看護師の離職対策カンファレンス」に呼ばれ、講演したことがあります。その際に、離職を防ぐために、まず大前提として、労働環境は適正にする必要があると述べました。
その上で、雇用主側ができることにはコミュニケーションが挙げられます。コミュニケーションが不足していることで産休・育休明けの気持ちが双方理解できず離職につながってしまいます。コミュニケーションといっても、直属の上司に「本音」を伝えるのは難しいことです。
その代わりに、同僚や友人、第3者から聞き出すのは一つの手です。こういった方法でコミュニケーションを取り、社内の労働環境を改善していくことは離職防止の第一歩になります。退職者は「本音」を教えてくれません。建前の退職理由をいくら聞いても、職場の改善にはつながらないのです。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。