課題②:治療費の負担が増えても生活できる?

2つ目の課題は、なんといってもお金です。フリーランスでおひとりさまの敦子さんは、病気になっても代わりに稼いでくれる仲間や家族がいません。そこで、いくらあれば生活できるか知るために、毎月の支出を洗い出してもらいました。

<毎月の支出>

・事務所経費(月額) 、家賃や水道光熱費、行政書士会費など
→合計9万5000円

・生活費(月額)、家賃や食費、社会保険料など
→合計15万9000円

あわせると毎月25万4000円が最低限必要な金額でした。そのうち特に負担が大きかったのは家賃。それぞれが大きな金額ではないけれど、足してみると結構な金額となりました。

「どうりでお金が残らないはずだわ!」

忙しさの割に増えない預金残高。だから、あまり得意ではない補助金申請の業務をスポットで受けていたのだということも、話の中で分かってきました。

お金まわりの改善案

家主の許可が出れば、自宅の一部を事務所にすることを検討してもいいかもしれません。ただ、クライアントに自宅を知られたくないという声もあります。筆者の場合は、シェアオフィスを利用することで、家賃だけでなくWi-Fiなど毎月かかる経費も節約できました。

敦子さんは、今後治療費として、放射線治療で 約13万円(25日分)、ホルモン治療等で5年間に約30万円かかる予定です。医療機関までの交通費や、術後に使う下着代なども地味に痛い出費です。想像していたより治療費は抑えられても、治療による倦怠感で働けない時間が増えると、貯蓄を切り崩すことにもなりかねません。

iDeCoは仕組み上、60歳まで引き出せませんが、敦子さんには幸いにも会社員時代にコツコツためた500万円の現預金があります。一時的に収入が減ったとしても、仕事を休める余裕があるのは経済的にも精神的にも助かりますね。

おひとりさまにとっての「自立」とは?

しばらくして、敦子さんから「事務所を移転した」と連絡がありました。自分の代わりに補助金申請をお願いした行政書士さんから、事務所を共同で使わないかと提案を受けたそうです。経費が浮くことプラス、体調不良になったときもクライアントに迷惑をかけずにすむ安心感が移転の決め手になったとのこと。

自立とはひとりで頑張るのではなく、困ったときに頼れる人や場所を知っていることです。病院にも、相談支援センターなど困りごとや不安な気持ちを相談できる場所が用意されつつあります。自分から助けを求めるというアクションが、働けないリスクからあなたの暮らしと仕事を守ります。