ファイナンシャルプランナーである筆者のもとに、50代の女性が相談に訪れました。20年もの単身赴任を終えた夫と再び一緒に暮らし始めて2カ月。会話もなく重苦しい日々が続いているとのこと。「このまま何十年も一緒に過ごすなんて耐えられない」と離婚が頭をよぎるものの、経済的な不安が大きな壁となっています。

【相談者プロフィール】

相談者 吉武満子さん(53歳・仮名)事務職 
夫   吉武充彦さん(55歳・仮名)金融機関勤務  

旅気分で始まった転勤生活で見えてきた厳しい現実

満子さんが同期入社の充彦さんと結婚したのは28年前。当時は、25歳までに結婚しないと「行き遅れ」と言われた時代です。満子さんも仕事に未練があったものの、親や世間の目が気になって結婚退職を選択しました。

結婚後、充彦さんの転勤に伴い満子さんも各地を転々とする生活が始まります。これまで旅行をしてこなかった満子さんにとって、転勤は旅気分。ガイドブックを購入して観光地を巡ったり、地元で人気のお店を食べ歩きしたりと転勤生活を満喫しました。でも、半年も過ぎれば、その土地の主要な場所はほとんど行きつくしてしまいました。

「あー、今日は何して過ごそう……」

朝からため息をつく日が増えていきます。そこで思いついたのが仕事をすることでした。

「まだ20代。事務職なら就職できるはず」

そう考えていた満子さんでしたが、履歴書は通っても2次面接でお断りが続きます。

「次の転勤はいつですか?」

夫が転勤族と分かると必ずされる質問がお断りの理由だと気づくのに、それほど時間はかかりませんでした。たしかに、いつまた転勤になるか分かりません。ハローワークに相談したところ、転勤に対応しやすいパート勤務を勧められました。