ファイナンシャルプランナーの筆者のもとに、50代の女性が相談に来られました。昨年お母さまが亡くなり、ふたり暮らしだった古い家を修繕または再建するかで悩んでいるとのこと。ただ、悩みはお金のことだけでなく遠方に住む姉との関係にもある様子。相談者との間に何があるのか気になるところです。

【相談者プロフィール】

相談者 山田みやこさん(52歳・仮名)公務員 独身

姉   坂井みやびさん(55歳・仮名)自営業 既婚 

築70年の古びた実家。修繕しても地震には耐えられない?

地方の閑静な住宅街にたたずむ一軒家。みやこさんにとって、そこは子どものころからの思い出が詰まった大切な場所です。けれども、老朽化が進み、大規模な修繕が必要だと感じ始めました。

遠方に住む姉に相談したところ、「家を修繕するなんてとんでもない!」と猛反対。面倒なことを持ち込んでほしくないという姉でしたが、それでも不安を抱えながら暮らしているみやこさんは、建築業者に見積もりを依頼しました。

出てきた見積額は想定を超えるものでした。なんと修繕費用は耐震補強も含めて600万円。しかも老朽化が進んでいるため、補強をしても大きな地震には耐えられないというのです。衝撃的な結果に驚き、実家を解体して建て直すことも考え始めました。

「家族との思い出は大事。でも、私の暮らしを守らなきゃ!」。思い出の家を壊してしまうのは悲しいけれど、安全を考えれば避けられない決断です。

その後、実家を解体して新しく建て直す場合の見積もりを出してもらうと、解体費用だけで300万円。さらに、ひとり暮らしの小さな家でも再建するには、2000万円から3000万円程度かかるとわかりました。独身のみやこさんにはかなりの負担です。そこで、みやこさんは、ファイナンシャルプランナーである筆者に計画が実現できそうか不安になり相談したのです。

現在の貯蓄額と、定年延長が予定されている状況を加味した退職金でキャッシュフロー表を作成。すると、再建費用を負担しても贅沢さえしなければ、何とか老後も暮らしていけるとわかりました。ただ、経済的な問題が解決しても心の葛藤は続きます。

姉ならどうするだろう。結果を伝え今後について相談してみても、「そんなこと知らないわ」と無関心な様子。いっそ空き家にして、家が朽ちていくのを見守りますか? と投げかけてみても反応がありません。思い出が詰まった家をそのままにしておくべきか、安全を優先して新しくするべきか、みやこさんはひとりで悩み続けます。