現代において推し活は一般的な文化となりましたが、その熱狂が家庭の家計を蝕んでしまうケースも少なくありません。趣味という名の聖域に、もし家族の未来が飲み込まれていたとしたら……。

理想の家庭のはずが…その裏側に潜んでいた闇

「ごめん、もう1円も残ってないの」

妻の口からこぼれたその一言が、私の人生を真っ白に染め上げた。

私は都内のIT企業に勤める42歳。妻の美穂(38歳)と、小学4年生の娘の3人暮らしだ。世帯年収は約900万円。決して贅沢はできないが、毎年家族旅行に行き、娘の中学受験に向けて着々と準備を進めている――そんな「普通の幸せ」を噛み締めていた。

美穂は控えめで、家計管理も完璧だと思っていた。彼女の唯一の趣味は、数年前からハマっている若手舞台俳優の「推し活」。

「これだけは私の生きがいなの」

そう微笑む彼女を、私はむしろ応援していた。パート代の範囲で楽しむのなら、日頃のストレス解消に良いだろうと。だが、その聖域の奥底には、私の想像を絶する真っ黒な淵が広がっていたのだ。

一体なぜ? 「住宅ローン審査落ち」の事実に衝撃

異変に気づいたのは、念願だった中古マンションの購入手続きを進めていた時だ。

頭金として、結婚以来コツコツ貯めてきた「共通口座」の450万円を充てる予定だった。しかし、事前審査の段階で銀行から連絡が入る。妻の信用情報に気になる点があるとのことだった。

しばらくの間、担当者の言葉が理解できなかった。カードの延滞? 借り入れ?

帰宅後、美穂に問い詰めると、彼女は明らかに動揺し、泳ぐような視線を部屋の隅に投げた。私は嫌な予感を抑えきれず、預金通帳と彼女のクレジットカードの明細を力ずくで確認した。

そこに並んでいたのは、目を疑うような数字の羅列だった。