<前編のあらすじ>

年収と肩書き、港区での華やかな生活――すべてを手に入れたはずの32歳、広告代理店勤務の女性。しかし、結婚生活わずか数カ月で発覚したのは、理想の夫が抱えていた1500万円もの借金だった。

自分を繋ぎ止めるために塗り固められた嘘と、見栄のための偽装工作。「愛より金」を信条に生きてきた人生に、冷酷な現実が突きつけられる。

●前編:“理想の夫”に漂う違和感…ハイスペを求め続けた32歳婚活女子が、結婚後に絶望した「冷酷な現実」

メッキが剥がれ落ちた、醜い本音の応酬

「これ、どういうこと?」

テーブルに督促状を叩きつけると、亮平の顔から一瞬で血の気が引いた。彼は数秒間、金魚のように口をパクパクさせていたが、やがて開き直ったように声を荒らげた。

「君が喜ぶ顔が見たかったんだよ! 1000万以下の男とは結婚しないって、君が言ったんじゃないか!」

「だからって借金してまで嘘をつくなんて……! 詐欺よ、これは結婚詐欺!」

私たちは、深夜のタワマンで罵声を浴びせ合った。私は彼の「無能さ」をなじり、彼は私の「強欲さ」を呪った。キラキラした生活の裏側に隠れていたのは、プライドを守るために互いを食いつぶし合う、醜い獣のような二人の姿だった。

翌朝、私は離婚届を突きつけた。しかし、彼は泣きながら縋り付いてきた。

「ごめん、本当にごめん。でも、君を失いたくなかったんだ。嘘をつかないと、君は僕のことなんて見てくれないと思ったから……」