仕事を始めても消えないモヤモヤと孤独感

パートの仕事はすぐに決まり、働き始めた満子さん。けれども次第に孤独を感じるようになります。つらかったのはお昼休み。子どもの話題で盛り上がる中、子どもがいない満子さんには苦痛でしかありません。

別の話題を振ってみてもすぐに話が元に戻ってしまう状況に、「家にいても、仕事をしても心が休まらない」。自分の居場所がなく、モヤモヤを夫にぶつけてしまう毎日。

「充彦さんが悪いわけじゃないのに」

分かっていてもつい相手を責めてしまう自分のことを嫌いになっていきました。

母親が倒れたことで夫婦の生活が変化していく

そんな状況は満子さんの母が脳梗塞で倒れたことで一変します。

父を早くに亡くした母は一人暮らし。治療とリハビリを終えて自宅で生活するには、支えがないと難しい状況でした。満子さんは「母のそばで暮らしたい」と考え、京都の実家近くに家を購入し母を支えることを決意します。

「満子がそばにいてくれたら安心だわ」。心細さを感じていた母から資金援助の申し出もあり、物件探しがどんどん進んでいきます。満子さんにとっても、これまでの孤独な生活から解放される新たな希望が見え始めたのです。

一方、充彦さんは当時東北で勤務中。京都の自宅から通うことは不可能です。夫婦で話し合った結果、別居生活が始まりました。当初は頻繁に連絡を取り合い、離れていても心のつながりを保っていたふたり。しかし、時間がたつにつれてその頻度は減り、連絡も少なくなっていきます。

満子さんの母が亡くなった後も、別居生活が続きました。疎遠になっていく夫婦関係。気にはなりつつも、再び夫の転勤について行くことは「もう懲り懲り」。

そんな中、役職定年になった充彦さんが20年ぶりに戻ってくることになりました。うれしい反面、ひとりで自由に過ごしていた時間が一変する不安が頭をよぎります。

●満子さんの不安は的中。20年ぶりに一緒に暮らし始めた夫婦はある難しい問題に直面しました。後編【「こんにちは」単身赴任帰りの夫のよそよそしさに妻あ然…20年ぶりに同居する夫婦が絆を取り戻した方法】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。