対照的な2つの家計に決定的な差が生まれた理由は…
さて、かなり対照的な2つの家計である上、山田さんの家計は、とても貯蓄が上手なレアケースではありますが、ここまでお読みになった方は「収入が多い=貯蓄が多い」が成り立たないと言った理由がお分かりいただけたのではないでしょうか。
そして、この2つの家計から貯蓄を増やす方法も同時に学ぶことができます。
それは「収支バランス」です。当然ではあるのですが、収入に対して支出が少なければお金は貯まります。下山さんの世帯収入は2200万円と世帯年収900万円の山田さん家庭の2.4倍もあるにもかかわらず、年間貯蓄額は下山さん130万円、山田さんは190万円と、山田さんの方が約1.5倍多いのです。
山田さんは「将来のことを考えると貯蓄をしないと心配で。欲しいものも特にないし、いくら貯蓄すればいいか分からないので、とにかく貯蓄してきました」と言います。
一方、下山さんは前編でもお伝えした通り、「いくら貯蓄しないといけないのか、今まで気にしたことはないです。余ったお金が、口座にそのまま貯まっていくだけでした」とのこと。
将来のお金についてどれだけ現実的に考えられるかが、収支バランスを取るポイントと言えそうです。
とはいえ、貯蓄は多ければ多いほどよいわけではありません。ここは誤解していただきたくないポイントです。
今使うお金、将来使うお金のバランスを考えながら貯蓄していくことが、今も未来も経済的不安を取り除ける貯蓄のコツです。山田さんは将来を“心配しすぎている”傾向があり、下山さんは将来を“気にしない”傾向があるため、2つの家庭とも将来必要になるお金を具体的に計算することで、今も未来も安心できる家計をつくることができるでしょう。