教育費はNISA、老後資金はiDeCoで準備
まず、教育費は現在学資保険150万円があるのと、紗枝さんがお子様17歳時点で400万円になるよう積立をしているとのことですから、残り150万円を作ればよいことになります。
ここでのポイントは教育費は日ごろの引き落とし等で使う口座とは別で管理すること。必ず教育資金専用口座を作り、そこで積み立ててください。これが、夫婦別財布でも、貯蓄をしっかりするためのコツになります。
お子様はまだ2歳。15年もの時間が残されていますから、つみたてNISA(2024年からは新NISA)を利用するのもよいでしょう。
次に老後資金です。老後資金の補強はやはりiDeCoです。個人事業主の場合、65歳まで加入できる人とできない人がいますが、亮平さんは65歳まで加入できます。というのも、65歳まで加入できる人の条件として、「国民年金の保険料納付済期間が40年に達していないこと」という条件があり、実は過去に未納がある亮平さんはこの条件を満たすことになるのです。
65歳になるまで国民年金に加入すれば、5年分の未納期間も取り戻すことができます。紗枝さんは「(夫に)年金の未納があることは知っていたので、取り戻せるならよかったです。でも、未納だからiDeCoに65歳まで加入できるんですね」と言います。
紗枝さんの言う通り、60歳まできっちり保険料を納めた人は60歳以降、国民年金に加入することはありませんから、iDeCoにも加入できません。iDeCo加入は国民年金加入が前提だからです。しかし、2022年12月に厚生労働省の審議会でiDeCoの加入年齢を70歳に引き上げることが示されたところです。亮平さんにも影響あるかもしれませんから、今後の制度改正は注目しておきたいところですね。
さて、老後を65〜95歳の30年として、例えば、生活費を月5万円補強するなら今から約6万円をiDeCoで積み立てる必要があります。「6万円!? 厳しいな」と驚きつつも「でも、そのくらいは必要ということですよね」と、ようやく亮平さんも資産形成の必要性に理解を示してくれました。
しかし、これで安心してはいけません。夫婦2人とも退職金がないうえ、老後は住宅ローンがまだ1000万円ほど残る見込みです。繰上げ返済する余裕はなさそうですし、紗枝さんもiDeCoで資産形成を行いたいところです。例えば、月2万円を65歳まで29年積み立てると約700万円になります。29年かけて700万円を住宅ローン残高の1000万円にする平均利回りは2.5%です。
もし、月2万円の積立が厳しいなら1.5万円に減額して4%程度の利回りを狙っていけば、1000万円を作ることができます。積立額は減るものの、利回りが上がる分リスクも増えますから、紗枝さんの考えに合う方法を選んでください。ちなみに、iDeCoの積立額は年に1回いつでも変更可能です。