<前編のあらすじ>

相談者・横山紗枝さん(36歳・仮名)は、自営業の夫・亮平さんと2歳の子どもと暮らす会社員。

ある時、保育料が6万円から2万円になった通知から、亮平さんの収入に大きな異変があったことが発覚します(その詳細は、前編『妻あぜん…完全別財布・収支不干渉のイマドキ夫婦が直面した“危機的な状況”』にて解説)。

その“事件”をきっかけに、今後必要となる資金について洗い出そうと夫婦でFP前田菜緒さんの元に訪れます。

後編では、2人が準備すべき資金の必要額やその根拠、そして具体的にどうそのお金を作っていけばいいのかについて、前田さんよりアドバイスを送ります。

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教育費と老後に必要な金額は?

まず紗枝さんご夫婦がこれから準備しておきたい教育費はお子さんの大学費用です。お子さんが大学生になる頃には、亮平さんは50代後半。体力が衰えて収入減少の可能性がありますから、大学にかかるお金は全額を準備しておきたいところです。費用は受験費用と大学在学中にかかるお金平均で約700万円というデータ*がありますから、受験費用込みで700万円をみておくとよいでしょう。

日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」より。

次に老後費用です。お2人の「ねんきん定期便」を拝見したところ、このまま亮平さんが個人事業主を続けるなら、老後の年金は60万円の老齢基礎年金と会社員時代に作った30万円の老齢厚生年金、合計90万円(年間)ということが分かりました。会社員であれば、これから働くことで厚生年金を増やすことができます。しかし、個人事業主の亮平さんは厚生年金に加入しませんから、30万円の厚生年金は増えることなく、そのまま老後の厚生年金になります。

一方、会社員の紗枝さんは、老齢基礎年金と老齢厚生年金合計で150万円(年間)ほどありそうです。夫婦合計すると240万円ですが、社会保険料や税金を差し引くと月の手取りは約16万円ほどになるでしょう。老後も住宅ローンが残っているうえ、リフォームや修繕が発生する可能性もあり、貯蓄が必要なことは明らかです。

亮平さんは、教育費の必要額と老後の年金額を初めて知り、ようやく現状のままではマズいと気づいたようです。では、今後どのように対策をとればよいでしょうか。