<前編のあらすじ>

神奈川県在住の会社員、桜井悠太は、今年に入ってから婚活にいそしんでいた。都内の結婚相談所にも登録して、初めてのお見合いを終えたばかりだった。

ただ、そのお見合いで、相手の女性から人格を傷つけるような言葉を投げつけられ、トラウマを負ってしまった。

桜井悠太は落ち込み、仕事にも影響が出てしまっていた。

そんな彼を心配し、先輩社員の後藤慎太郎が、飲みに連れだしたのだが、桜井の悩みを解決するには至らなかった。そんなある日、桜井悠太の様子に変化があらわれる……。

●前編:【「35歳にもなってアニメ見てるなんてキモい」結婚相談所を利用する技術職男性が埼玉在住30歳OLに言われた一言】

表情が俄然明るくなった

後藤慎太郎が桜井悠太を飲みに誘ってから、ひと月が経過した。

桜井悠太は相変わらず暗い表情で出社しては、覇気のない様子で仕事をし、仕事が終わると逃げるように会社を出ていった。

特に、女性の同僚への態度はひどかった。オフィスで女性から話しかけられると、目をそらし、もごもご何か言っては逃げるように去っていく。結婚相談所で負ったトラウマをいまだに引きずっているのは明らかだった。

そんな状況のまま、梅雨が明け、猛暑の夏がやってきた。

と、桜井悠太の雰囲気が急に変わったのだった。

ある日を境に、桜井悠太の表情が俄然明るくなった。朝早く出社しては、周囲に大きな声で挨拶するようになった。仕事にも熱心に取り組むようになり、停滞しがちだったプロジェクトについても、前向きなアイディアを出してきたのだった。

女性への態度も一変した。仕事で関わる女性の同僚にも笑顔で対応するようになった。堂々とした態度で、愛想よく振る舞うようになり、目をそらしたり、不明瞭な返事で逃げることもなくなった。

後藤慎太郎は、そんな桜井悠太の変化が逆に心配になってきた。

また深い事情を聞き出そうと、後藤は再び、川崎駅南口の焼肉店に桜井を誘ったのだった。