夫婦で支える子育ての日々
「悠真、ご飯もうすぐでできるからおもちゃ片付けてね」
「はーい」
夕方、キッチンで夕食の支度をしていた陽子が5歳の息子の悠真に声をかけると、悠真はきちんと返事をしてお気に入りのミニカーをおもちゃ箱に戻し始めた。
陽子は現在、34歳でスーパーを運営する会社の本部で事務の仕事をしている。家事に仕事にと大変ではあるが、夫の清志もいろいろと協力してくれるため、それなりに穏やかな毎日を送っていた。
「今日もパパ遅いの?」
「いや、今日は早く帰ってくるって言ってたよ。もうそろそろ帰ってくるんじゃないかな」
陽子はそう答えながら、野菜炒めを作っていたフライパンの火を止めた。
「じゃあパパとゲームしてもいい?」
悠真は清志のスマホに入っているアプリゲームをするのにハマっていた。
「ご飯食べてお風呂入ってからね」
「えー」
「えーじゃないでしょ」
渋い顔をする悠真に、笑顔で陽子は返した。すると玄関の鍵が開く音がした。
「あ、パパだ!」
悠真はぱっと顔を明るくすると、玄関に走って行った。しばらくするとスーツ姿の清志がリビングに入ってきた。
「おかえりなさい」
陽子は声をかけると同時に、清志が手に持っていた大きなビニール袋が目に入った。
「ただいま。いやぁ、もう9月だっていうのに暑いな」
そう言いながら清志はハンドタオルで汗を拭った。
「何それ? 何か買ってきたの?」
「ああ。帰る前にちょっと買い物をしてきた」
「ちょっとっていう量じゃないわよ」
スポーツ用品店のロゴが入った袋は、清志の膝のあたりまで届くほど大きく、しかもぱんぱんに膨らんでいた。
「何をそんなに買ったの?」
「見たい、見たい!」
家族2人から注目を浴びて嬉しそうに清志は袋を床に置いて、中から箱を取り出した。
「靴?」
「これは室内用のシューズだよ」
「何それ?」
清志は得意げな顔を陽子に向けてきた。
「実はジムに入会したんだ」
