家族も応援した清志の挑戦は…
しかし、清志のジム通いは長くは続かなかった。
1週間ほどすると、清志が仕事帰りにジムに行く回数は目に見えて減っていった。
「今日はジム行かないの?」
「……仕事で疲れてるから休むよ」
清志はそう言いながら、ソファでアプリゲームをやっていた。
しかし、次の日もその次の日もジムに行くことはなく、休日のランニングすら行かなくなってしまった。
威勢のいいことを言っていた割に1週間も続かなかった清志に、陽子は小さな不満を抱いた。別に毎日運動をしてほしいわけではなかったが、運動会のためだと息巻いていたにも関わらず、あまりにあっさりやめてしまうことまでは想像できなかった。
いよいよ運動会が来週に迫ってきても、清志は相変わらず家でだらだらとしていた。
「ねえ、もうジム解約してきてよ」
清志の様子に苛立ちを覚えた陽子は声をかけた。清志はスマホに目を落としたまま返事をする。
「何でだよ?」
「だって運動会がもう来週だって言うのに全然ジムに行かないじゃん。それなら契約しててもお金の無駄だから解約してって言ってるの」
全然行かないという言葉に苛立ちを覚えたのか、清志がむっとした表情で言い返してきた。
「まだ1週間あるだろ。それに運動会が終わってもジムには通うつもりだから」
「ウソ言わないでよ。ジムに行ってたのなんて最初の数回だけじゃん。運動会のためにって言っておきながらそんな調子なんだから、運動会が終わったあとに行くわけないって」
清志はスマホをポケットに入れると、苛立った様子で立ち上がった。
「じゃあ今から行ってくるよ。ジムくらい俺の好きなタイミングで行かせてくれたっていいのに何だよ……! こっちだって仕事で疲れてるのにさ……!」
「あなたがちゃんと行かないから言ってるの。悠真だってあなたが頑張ってるのを応援してたのに、期待を裏切るようなことしないでよ」
「してない。俺は俺なりにちゃんとやってるから」
そう言うと、清志は着替えてジムに行ってしまった。リビングに1人残された陽子は大きくため息を吐いた。
●昨年の運動会で転倒した雪辱を果たそうとジムへ入会した清志だったが、約1週間で足が遠のいている姿に妻・陽子の不満は爆発。息子・悠真の期待を裏切らないでほしいと訴えられた清志は「俺は俺なりにちゃんとやってる」と言い残し、家を出た…… 後編【「パパもリレー走るんだよね⁉」ジム通いが1週間で途絶えた父…運動会本番で息子が見た“まさかの姿”】にて、詳細をお伝えします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
