<前編のあらすじ>

雅代さんは60歳。10年前に会社員だった夫・達之さんを亡くしています。

短時間のパート従業員として勤務するほか、遺族年金を受給しています。遺族厚生年金として年間85万円、これに中高齢寡婦加算が年間63万円加算され、合計では年間148万円を受給していました。

ただ、近年の物価上昇もあって、生活は楽ではありませんでした。家計の足しにしようと、雅代さんは「65歳から受給予定の老齢年金の繰上げ受給」を考え、年金事務所に相談に行きました。ところが……。

●前編:「物価が上がってきているし、もう少し収入があれば…」年金の繰上げ受給を検討する60歳パート女性が年金事務所で告げられた一言

「おやめになったほうがよいでしょう」

老齢年金の繰上げをしようとしている雅代さんに対し、年金事務所の職員は「繰上げは意味がないので、おやめになったほうがよいでしょう」と断言しました。

60歳になると老齢年金の繰上げ自体はできるようですが、繰上げをする意味がないようです。その理由はどこにあるのでしょうか。

本来、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することができますが、60歳になるとこれらの老齢年金を繰上げ受給することもできます。

しかし、雅代さんの場合、現在、遺族厚生年金(中高齢寡婦加算込み)を受給中です。遺族厚生年金と老齢年金は同時に受給することができません。年金には「1人1年金」の原則があり、老齢年金と遺族年金という異なる種類の年金を同時に受給することはできなくなっています。