正社員になれた喜びの裏で知った衝撃の事実

米田さんは不安を抱えながら、過去のトラウマから目をそらすように、今までにないほどがむしゃらに働いた。そのかいあって彼女は晴れて試用期間を乗り切った。そう、目指していた正社員となったのだ。もちろん、5%の給与アップも実現された。

「正式採用を告げられた時、面談中にも関わらず泣き崩れてしまいました」

同僚の実質的なクビから数カ月、彼女は不安でいっぱいだったのだろう。目の前でそう語る今も目には涙が潤んでいる。

さて、いったんここで彼女の仕事の話も整理しよう。彼女の所属部署は総務部。業務範囲は広く、いわゆる人事部も兼ねていた。

当然、彼女も人事関連の仕事にも携わることになるのだが、そこで衝撃の事実が明かされた。ある日、上司から求人の作り方を教わる際にこう言われたのだ。

「うちはキャリアアップ助成金を受け取るために、必ず入社半年間は契約社員とし、給与も本来の額より5%下げて募集をかけるんだよ」と。

上司はさらに続ける。

「実際の受給手続きは、指導してくださる社労士の先生に依頼して代行してもらう。難しいことは何もないから大丈夫だよ」

米田さんの頭は真っ白になった。それと同時に「助成金を受け取るために半年間も契約社員にするの……?」「もしかして私が契約社員にされたのって会社が助成金を受け取りたいから?」と、同僚の退職時に感じた会社に対する不信感が一気に頭を駆け巡る。

とはいえ、今は仕事中。声を振り絞り上司へ質問する。

「キャリアアップ助成金……? なんですかそれは? 詳しく教えてください」

●真実を知った米田さんはどのような決断を下したのか? 後編【「自分が助成金のダシにされていた」衝撃の事実に募る不信感、会社の裏の顔を知った20代女性の決断は…】でお伝えします。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。