「『6カ月後に賃金アップと同時に正社員化』と書いてあったから安心して応募したんです」

そう語る米田彩さん(仮名)が入社してから見たのは、優しい求人の裏に潜むキャリアアップ助成金制度の悪用だった。さて、今回はそんな彼女の体験を通じて、キャリアアップ助成金という制度に潜む闇について暴いていく。

派遣社員の米田さんが見つけた破格の待遇

ある日、米田さん(20代後半・女性)は転職サイトで運送会社の求人が目に留まった。

内容としては、

・試用期間6カ月間は契約社員として登用
・ただし正社員化した後には給与5%以上のアップ

というものだ。

「この求人を見た時、まさに私のための求人かと思いました」

米田さんは当時の心境をそう語る。

契約社員スタートが気になったものの、正社員になれて昇給もする。現在派遣社員の彼女からすれば破格の待遇だ。この求人は彼女にとってまさに理想的なものだった。

彼女はすぐさま応募し、面接までこぎつけた。

面接では会社側から「契約社員のスタートですが、試用期間としてお互いのミスマッチを減らすためです」「あくまで正社員化することが前提の採用ですから」「正社員化した場合の昇給は過去100%です」などと求人通りの条件であることが説明された。

そして面接から5日後、彼女に合格の連絡が届く。晴れて彼女は地元企業で働くこととなった。