退職代行が必要のない社会に

退職代行が必要のない社会が望ましいと、私はいつも訴えています。本来であれば、本人が自分の言葉で退職の意思を伝え、それが円滑に受け入れられる職場であるべきです。

しかし現実には、日本では退職の意思を伝えることが難しい場面が少なくありません。「辞めるのは甘え」「みんなに迷惑がかかる」といった同調圧力があり、働く側が権利を主張しづらい土壌があります。

さらに学校や就職支援の場でも、労働者としての基本的な権利や、ブラック企業から自分を守る方法を学ぶ機会は限られています。

退職代行というサービスがここまで発展したのは日本特有の事情によるものでしょう。それは利用者側だけでなく、会社側にも「退職」に対して、正面から向き合いにくい部分があったからではないでしょうか。退職代行は、利用者にとっての理不尽な職場からの救済措置だけでなく、会社にとっても、これまで聞けなかった退職者の本音を知り、今の時代に合った理想の職場づくりのきっかけとなってきています。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。